男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)
男性の育児休業について書かれている本ですが。
「最終的に行き着くのはワーク・ライフ・バランスなんだな」と
しみじみ思いました。
P171
多様なライフスタイルの実現を企業が支援していくという方向に、
雇用システムや働き方を転換することが必要となっている。
ということなのですね。
こういった議論にありがちな感情論や高過ぎる理想論に陥ることなく、
冷静に論理的に書かれているので読んでいて気持ちよく納得できるのです。
この本を読んで知ったのが、
「妻の産後8週間は育児休業取得に妻の就業の有無などの制約がない」ということです。
8週間だけでも(一般的には「だけ」とは考えないかもしれませんが)
父母2人で同じように育児できるチャンスがあるのですね。
核家族が多く地域のコミュニティとの繋がりも薄い現状、
母親(もしくは父親)一人で生まれたばかりの子を育てるのは
とても大変だと思いますし、
父親だって(母親だって)子供が育っていく様子を見たいと思うのです。
育児休暇とは別に、男性にも出産休暇という制度があればいいのになぁ。
そして、ふむーと思ったのは、
育児休業中の所得保障についてです。
雇用保険制度の中の失業防止という理念での給付制度なので、
子育て世帯に対する経済支援ではないのですよね。
書かれているのは、子育てについての問題ではなく、
子供のいない人にも関係ある
働き方、生き方についての考え方なのですね。
子供を作ろうかと考えている人・子供が生まれる人だけでなく、
職場の誰かが育児休暇を取得するかも!という可能性がある人にも、
男性にも女性にも(つまり、みんな?)お薦めの本です。